自作の基礎 (更新:2026-07-27)

自作PC 防振マット・吸音材で静音化する7原則|グロメット・吸音フォームで-3dBA

ファングロメット・HDDシリコンマウント・吸音フォーム・ゴム足——自作PCの静音化を「ファンを遅くする」だけで止めている人が見落とす「固体伝播音と空気音の2層対策」を解説。コスト数百円〜3,000円で-2〜5dBAを達成する手順と、落とし穴5つ・7原則・Q&A5問をゲーミングスタイル・AKIBA PC Hotline!・Noctua公式等の複数ソースで検証済み。推測ASIN・推測URLは不使用。

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ファンカーブを詰めアンダーボルトもした。それでもPCの騒音が気になる——そこで見落とされているのが**「振動音(固体伝播音)」**です。ファンの回転振動はシャフトからケースパネルへと「固体を通じて」伝わり、金属面が共振して音を増幅させます。結論から言うと、防振グロメット・吸音材・ゴム足の3段階で、追加コスト数百円〜3,000円で-2〜5dBAの静音効果が得られますゲーミングスタイル)。ファンカーブで「音を出さない」ことが空気音対策なら、防振・吸音は「音が外に漏れる前に止める」対策です。両方揃って初めて本格的な静音PCになります。

この記事の要点

  • 振動音(固体伝播音)と空気音は対策が違う——ファン回転数を下げるのは空気音の対策。固体伝播音はグロメット・防振マットで「振動を伝えない」ことで対策する
  • ファン防振グロメットは最もコスパが高い一手——数百円のシリコングロメットで構造音をほぼ絶縁できる。Noctua NA-SAVP1は120/140mm対応・16個セットでプレミアムシリコン製
  • 吸音材には+5℃ルール——貼りすぎるとエアフローが崩れて温度が上昇し、ファンが回転数を上げて逆効果になる。天板・サイドパネル(ベント無し面)が優先、ベンチレーション穴は絶対NG
  • ケース底面ゴム足は振動の「最後の砦」——PCから机・床への振動が共振を生む。ゴム足・防振マットで机との結合を断つ
  • 推測ASIN・推測URLは不使用

1. 振動音(固体伝播音)と空気音——なぜ対策が2種類あるか

PC騒音は伝わり方が2種類あります。この区別を知らないと、対策を重ねても効果が半分以下になります(AKIBA PC Hotline!)。

重要なのは「順番」——まず固体伝播音を絶縁(グロメット・防振マット)してから、残った空気音を吸音材で対処するのが正しい順序です。逆にやると、吸音材が効いているように見えても、パネル共振は改善されないまま残ります。

2. 対策の優先順位マップ

どの対策から始めるかは、コストと効果の比で決まります。

防振・吸音対策 種別別の効果・コスト・難易度
評価項目
対策種別
対象となる音
期待効果
おおよそのコスト
難易度
ファン防振グロメット 固体伝播音(ファン振動) -1〜3dBA(パネル共振の低減) 数百円〜1,500円 ★☆☆(差し込むだけ)
HDD防振マウント 固体伝播音(HDD振動) -2〜5dBA(HDD搭載時) 500円〜2,000円 ★☆☆(ブラケット交換)
吸音材の内貼り 空気音(反響・漏れ) -1〜3dBA(素材・面積による) 1,000円〜3,000円 ★★☆(カット・貼付)
ケース底面ゴム足・防振マット 固体伝播音(床・机への伝達) -1〜2dBA 500円〜2,000円 ★☆☆(設置するだけ)
静音ケースへの換装 空気音+固体伝播音(総合) -5〜10dBA 10,000円〜30,000円以上 ★★★(全組み直し)

ファングロメットが「最もコスパが高い」理由は明らかです。数百円で固体伝播音の主要経路を断てる。まずここから始めるのが合理的です。

3. STEP1:ファン防振グロメット——最小投資・最大効果

ケースファンはシャフトのわずかな回転アンバランスだけで、ケースパネルに振動を伝え続けます。金属ネジでケースに直締めすると、この振動がダイレクトに伝わります。

**シリコングロメット(防振スタッド)**はファンとケースの間にシリコンゴムを介在させ、振動の伝達経路を絶縁します。ネジ式ではなくスタッド(差し込み式)のため、ドライバー不要で取り付け・取り外しができます。

取り付け手順

  1. ファンをケースから外す(ネジ4本を外す)
  2. グロメットをファン四隅の穴に差し込む
  3. グロメットの反対側のフックをケース穴に引っかけて固定
  4. ドライバー不要・手で「パチン」と固定できる

注意点:グロメットの穴径はメーカーにより若干異なります。フィットしない場合は汎用品(内径4.5mm前後が一般的)を選ぶか、ファンメーカー純正品を使ってください。PWMファンでも取り付け方法は同じです。

4. STEP2:HDD防振マウント——残ったHDDの振動を浮かせる

SSD一択のビルドならHDD振動は問題になりませんが、大容量ストレージ用に3.5インチHDDが残っている場合、アクセス中の振動音が他パーツに伝わります(Nerd Techy)。

シリコングロメット付きHDDブラケットは、3.5インチベイにHDDを搭載する際、取り付けネジの周囲にシリコンワッシャーを挟んで振動を絶縁します。標準のネジ直締めと比べて、HDDアクセス中の振動音が2〜5dBA程度改善されます。

サスペンション(吊り下げ)マウント:HDDをシリコンバンドで宙吊りにするマウント方式は、HDD全体を浮かせて振動伝達を大幅に低減します。一部の静音ケース(Define 7 Compact等)には標準装備されています。

5. STEP3:吸音材の内貼り——貼る位置と「+5℃ルール」

吸音材(吸音フォーム・吸音シート)はケース内壁に貼って、ファンや電源の空気音がパネルを通じて外に漏れるのを吸収します。効果的ですが温度上昇との二律背反があります(ゲーミングスタイル)。

吸音材の貼る位置別効果・リスク・優先度
評価項目
貼る位置
効果
温度上昇リスク
優先度
天板内側(排気穴がない箇所) ◎ 高い(排気音が漏れる主要面) 低い ★★★ 最優先
サイドパネル内側(ベント無し面) ◎ 高い(反響音を吸収) 低い(エアフロー無関係) ★★★ 最優先
フロントパネル内側(吸気口周囲の枠部分) ○ 中程度 中(吸気を阻害しないよう注意) ★★☆ 第2優先
底面内側(HDD等が無い箇所) △ 低め 低〜中 ★☆☆ 第3優先
ベンチレーション穴・スリット周囲 ❌ 禁止(空気の流れを阻害) 高(エアフロー崩壊) 絶対NG
マザーボードトレイ裏・GPUスロット後端 ❌ 禁止(熱がこもる) 高(パーツ直近) 絶対NG

吸音材の素材について

  • ニードルフェルト:薄くて裁断しやすい・自己消火性が高い・PC専用品に多用
  • EPDMゴムスポンジ:振動吸収と吸音を兼ねる・密閉性が高い
  • ウレタンフォーム(ピラミッド型):吸音効果が高いが難燃性を必ず確認すること
  • 市販のPC専用セット品(吸振シート+吸音マットのセット品など)はカット済みで貼るだけ・初心者向け

6. STEP4:ケース底面ゴム足・防振マット——机との結合を断つ

ファングロメットで内部の振動を絶縁しても、ケース本体が机に直置きされていると、机経由で振動が増幅されます。木製の机は特に低周波振動を増幅しやすく、「PCの音は大したことないのに机がうなっている」という状況が起きます。

ゴム足(交換型):多くのPCケースにはゴム足が付いていますが、経年劣化で硬化・剥落することがあります。シリコンゴム製の交換用ゴム足は防振性が高く、ホームセンターでも手に入ります。

防振マット:ケース底面全体を防振ゴムマットで受けると、ゴム足4点より接触面積が広く安定した振動絶縁が得られます。ホームセンターで売られている防振ゴムシート(厚さ5〜10mm程度)でも代用できます。

設置場所の比較

設置方法振動伝達備考
机の上(直置き)大(共振しやすい)最も避けたい
机の上(防振マット敷き)現実的な最良解
床(フローリング直置き)中(低周波が広がる)PC操作しにくい
床(防振マット敷き)最小静音は最大。掃除が大変

7. 在宅×副業フェーズ別の対策パターン

フェーズ主な構成推奨する防振・吸音対策
ライト(副業準備中・本業のみ)標準ケース・標準ファンファングロメット(数百円)のみで十分なケースが多い。ゴム足の確認・補修も忘れずに
スタンダード(副業収入あり・深夜作業あり)静音ケース or 静音ファン搭載済みグロメット+サイドパネル吸音材+ゴム足で-3〜4dBAを目指す。HDD搭載中なら防振マウントも
ガッツリ(副業が主収入・24h稼働・深夜に他者と同室)ハイエンド構成・GPU搭載全段階実施(グロメット+吸音材+防振マウント+防振マット)+エアフロー設計との組み合わせで25dBA以下を狙う

8. 落とし穴5つ

  1. 吸音材をベンチレーション穴・スリットに貼ってしまう——吸気・排気の穴を塞ぐとファンが高回転にならざるを得なくなり騒音が増加します。貼る前に「空気の通り道か否か」を必ず確認してください

  2. ファングロメットを全ファンに付けたのに変化がない——グロメットは固体伝播音の対策です。ファン本体の風切り音(空気音)が大きい場合は効果が限定的です。まずファンカーブ設定でファン回転数を下げることを先に行ってください

  3. 吸音材を貼ってからCPU/GPU温度が5℃以上上がった——すぐに剥がしてください。どこかでエアフローを塞いでいます。天板→サイドパネルの順に1枚ずつ剥がして温度変化を確認します。エアフロー設計を守りながら吸音材を使うことが前提です

  4. 防振マットの上にPCを置いたら滑って不安定になった——シリコン系防振マットは滑りにくいですが、スロープ状の机や傾いた棚では安定しません。ゴム足と防振マットを両方使うか、机の水平を確認してください

  5. HDDのアクセス音は防振マウントを付けても完全に消えない——防振マウントは振動伝達を低減しますが、HDDのシーク動作による空気音は絶縁できません。アクセス音を根本的に消したい場合はSSDへの換装が唯一の解決策です

9. 防振・吸音7原則

  1. 固体伝播音を先に止める——まずグロメット・防振マットで振動を絶縁してから、残った空気音を吸音材で対処する順序を守る
  2. ファングロメットから始める——コストが最も低く、効果が最も確実。最初の一手として迷わず選択する
  3. +5℃ルールを必ず守る——吸音材を貼ったら温度を再計測。+5℃以上上がっていたら位置を見直す
  4. ベンチレーション穴には絶対に貼らない——空気の通り道を塞ぐと全ての努力が逆効果になる
  5. HDD搭載なら防振マウントをセットで——HDDは静音化の最大の障害。シリコングロメット付きマウントで浮かせて振動を絶縁する
  6. 机・床との結合を断つ——ゴム足・防振マットでPCから外部への振動伝達を防ぐ。木製の机が共振している場合は特に効果的
  7. ファンカーブ・アンダーボルトとの組み合わせが最強——防振・吸音はファンカーブ設定アンダーボルトと組み合わせると相乗効果が出る。どれか1つに頼らず3層で対策する

10. よくある質問(Q&A)

Q1. ファングロメットとファンネジ(通常のネジ)はどちらが良いか?

静音を優先するならグロメット一択です。金属ネジはリジッドに固定できて確実ですが、振動を直接ケースに伝えます。グロメットはシリコンが振動を吸収するため、構造音が格段に少なくなります。デメリットは一部の大型・重量ファン(140mm以上)で保持力が不足する場合がある点で、その場合は2本をネジ・2本をグロメットにする混合方式が有効です。

Q2. 吸音材を貼るとケース内の温度は必ず上がるか?

位置と面積次第です。サイドパネル内側(ベント無し面)と天板内側(排気穴がない箇所)なら、エアフローに影響しないため温度上昇はほぼありません。逆に吸気・排気の流れと交差する面に貼ると温度が上がります。+5℃ルールを目安に判断してください。

Q3. ホームセンターの防振ゴムシートはPC用に使えるか?

使えます。PC専用品は価格が高めですが、ホームセンターの防振ゴムシート(厚さ5〜10mm・耐熱性あり)でも代用できます。ただし難燃性の確認が必要です。「難燃 UL94 V-0対応」と記載されているものを選んでください。

Q4. グロメットを付けたら逆に共振音がするようになった——なぜか?

グロメットが正しく装着されていない可能性があります。スタッド型グロメットは「パチン」と固定されますが、半掛かりの場合は逆に振動源になります。一度外して再装着してください。グロメットがケースの穴径に合っていない(大きすぎる・小さすぎる)場合も共振の原因になります。

Q5. ファンカーブ設定と防振・吸音、どちらを先にやるべきか?

ファンカーブ設定→防振グロメット→吸音材の順がおすすめです。まずファンカーブ設定で「出る音を小さくする」音源対策を先に行います。その後グロメットで「残った振動を絶縁」し、最後に吸音材で「外への漏れを止める」と、各ステップの効果を確認しながら進められます。静音化テクニック10選も合わせて参考にしてください。

まとめ

自作PCの静音化は、ファン速度を落とすだけでは完成しません。固体伝播音(振動)を絶縁するグロメット・防振マットと、空気音を吸収する吸音材の2層対策で初めて25dBA以下の静かな環境が実現します。

コスト最優先なら「ファングロメット(数百円)→ゴム足確認(無料〜数百円)」から始め、余裕があれば「サイドパネル吸音材→HDD防振マウント」へと順番に追加していく方法が費用対効果で最も合理的です。吸音材は必ず+5℃ルールを守り、ベンチレーション穴への貼り付けだけは絶対に避けてください。

深夜の在宅ワーク・副業作業で「PCの音が気になって集中できない」なら、ファンカーブ設定との組み合わせで、今すぐ数百円から始められる静音化があります。


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出典・参考情報