自作の基礎

自作PCは経費にできる?副業・個人事業主の減価償却と少額特例【2026年版】

副業・個人事業主が自作PCを経費にする方法を、取得価額10万・20万・30万の境界線で整理。一括経費・一括償却・少額減価償却特例の使い分け、事業按分、自作ならではの『パーツ合計で判定』の落とし穴まで実務目線で解説する。

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副業や個人事業で使う自作PCは、事業に使う分を経費にできます。ただし「いくらのPCか」で処理方法が3段階に変わり、しかも自作PCには『パーツ合計で判定する』という見落としやすい落とし穴があります。本記事は、税務署提出ベースで迷わないよう、金額の境界線と按分の考え方を業務目線で整理します。

この記事の要点

  • 💴 取得価額 10万円未満 → 全額その年の経費(消耗品費)
  • 📅 10万〜20万円未満 → 一括償却資産(3年で均等償却・償却資産税の対象外)
  • 🟢 青色申告なら30万円未満を全額経費(少額減価償却特例・年間合計300万円まで)
  • ⚠️ 自作PCはパーツ合計で1台として判定。CPU単体・GPU単体で10万円未満に割るのは原則不可
  • 🧮 副業利用は事業使用割合で按分(例:40%使用なら取得価額×40%が対象)

1. まず「取得価額」を正しく出す(自作の最重要ポイント)

メーカー製PCと違い、自作PCは機能的に一体として動く1つの資産です。したがって取得価額は、

CPU・GPU・マザボ・メモリ・SSD・電源・ケース・CPUクーラー・OS … を合計した金額

で判定します。

一方で、後から単独で増設・交換するパーツ(例:1年後に買い足した外付けSSDや増設メモリ)は、その時点で別個の少額資産として判定できる場合があります。購入時期と一体性が判断の軸です。

2. 金額の3段階で処理が変わる

取得価額別・経理処理の早見表
評価項目
10万円未満
10万〜20万円未満
20万〜30万円未満 推奨
30万円以上
処理方法 全額経費(消耗品費) 一括償却資産 少額減価償却特例 通常の減価償却
経費にする年 その年に全額 3年で均等 取得年に全額 4年で按分(法定耐用年数)
青色申告が必要 不要 不要 必要 不要
償却資産税 対象外 対象外 対象 対象
PC(電子計算機)の法定耐用年数は4年。個人事業は原則 定額法。

10万円未満 — いちばん簡単

全額を取得年の消耗品費として落とせます。エントリー〜ミドルの業務向け自作PCはここに収まることも多く、最も手間がかかりません。

10万〜20万円未満 — 一括償却資産が有利な場面

3年間で1/3ずつ経費化。償却資産税(固定資産税)の対象外になるのが地味なメリットで、複数台を持つ事業者は節税になります。

20万〜30万円未満 — 青色申告の特権

**青色申告者(中小企業者等)**は「少額減価償却資産の特例」で、30万円未満を取得年に全額経費にできます(年間合計300万円が上限)。ハイエンド寄りの開発・クリエイティブ機を1年で落とせるのは大きい。白色申告では使えません。

30万円以上 — 通常の減価償却

PC(電子計算機)の法定耐用年数は4年。定額法で4年に分けて経費化します。デュアルGPUのローカルLLM機などはここに入りがちです。

3. 副業利用は「事業使用割合」で按分する

プライベートと兼用の場合、事業に使っている割合だけが経費対象です。

  • 例:18万円の自作PCを、副業40%・私用60%で使用 → 経費にできるのは 18万円 × 40% = 7.2万円 → 7.2万円は10万円未満なのでその年に全額計上できる

按分根拠(作業時間・用途の記録)は説明できるようにしておくと安心です。在宅勤務と副業で稼働の大半が業務、というケースは事業割合を高く取りやすい一方、合理的な根拠が必要です。

4. 領収書・記録のそろえ方

自作は購入店が複数(パーツごと)になりがちです。次を残しておきましょう。

  • パーツごとの領収書/明細(ネット注文の確定メール・PDFで可)
  • 1台分としての集計表(取得価額の合計が分かるメモ)
  • 取得日(使い始めた日) … 償却開始の基準
  • 事業使用割合の根拠(按分する場合)

価格の出どころは実売価格の調べ方もあわせて押さえると、構成検討と帳簿づけが一気通貫になります。

5. 10〜20万円なら「一括償却」と「少額特例」どっちが得?

10万〜20万円未満のPCは、青色申告者なら**「一括償却資産(3年均等)」と「少額減価償却特例(取得年に全額)」のどちらでも処理できます**。一見すると全額その年に落とせる少額特例が有利に見えますが、そうとは限りません

15万円のPCを買った場合の比較
評価項目
一括償却資産 推奨
少額減価償却特例
1年目の経費 5万円 15万円
2〜3年目の経費 各5万円 0円
償却資産税 対象外 対象(課税標準に算入)
向いている人 毎年安定して黒字 今年だけ利益が大きい
少額特例で落とした資産は償却資産税(固定資産税)の課税対象に含まれる点に注意。

判断の軸はシンプルです。「今年は利益が大きいので今年のうちに全部落としたい」なら少額特例「毎年コンスタントに黒字で、償却資産税の申告を増やしたくない」なら一括償却が有利になりやすい。利益の出方を見て選ぶのがコツです。

6. 自作PCを経費化することの功罪

経費化は「節税」だけでなく、帳簿の手間と否認リスクのバランスで考えるのが実務です。ランニングコスト側は業務PCの電気代5年運用コストの最小化とあわせて設計すると、初期費用だけでなく総額で得をしやすくなります。

7. やりがちな5つの落とし穴

  1. パーツごとに分けて即時経費化 — 一体で機能する資産は合算が原則。GPU・CPUを個別に10万円未満へ割るのは否認リスク大。
  2. 取得日を「購入日」と思い込む — 償却開始は事業で使い始めた日。年末購入・翌年稼働なら開始も翌年。
  3. 私用兼用なのに全額計上 — 按分なしの全額計上は典型的な指摘ポイント。使用割合の根拠を残す。
  4. 少額特例=無条件で得、と考える — 償却資産税の対象になる・上限300万円・青色申告が前提という条件を見落としがち。
  5. モニタやUPSまで「PC本体」に合算 — 周辺機器は別個の資産。UPSやモニタを本体に混ぜると、本来即時経費にできる分まで償却に回してしまう。

8. よくある質問(Q&A)

Q1. 中古パーツや、もともと私物だったパーツで組んだPCも経費にできますか? A. 私物を事業転用した場合は「その時点の時価」を取得価額として計上するのが原則です。中古購入分は購入額が取得価額になります。いずれもパーツ合計で段階を判定します。

Q2. 会社員の副業(雑所得)でも経費にできますか? A. 雑所得でも、その所得を得るために必要な支出は経費にできます。ただし少額減価償却特例は青色申告(事業所得)が前提のため、雑所得では使えません。10万円未満の即時経費や、通常の減価償却は可能です。

Q3. OSやソフトのライセンス費用はどう扱いますか? A. PCと一体で使うWindowsライセンスは取得価額に含めて判定するのが基本です。単体購入の業務ソフトは、金額しだいで「ソフトウェア(無形固定資産・原則5年償却)」として別途処理することがあります。

Q4. 後からグラボだけ10万円超で買い替えたら? A. 既存PCの一部交換でも、その交換が新たな資産の取得とみなせる規模なら、その時点で単独の資産として段階判定します。修理・現状回復に近い少額なら修繕費・消耗品費で落とせる場合もあります。

Q5. 確定申告で「消耗品費」と「減価償却費」、どちらの科目で書けばいい? A. 10万円未満の即時経費は消耗品費(または事務用品費等)、減価償却・一括償却・少額特例で落とす分は減価償却費で計上します。少額特例は決算書の摘要に「措置法28の2」と記す運用が一般的です。

まとめ

  • 自作PCはパーツ合計で1台として取得価額を判定する(分割計上は不可)
  • 10万円未満は即経費/10〜20万円は一括償却/青色なら30万円未満まで即経費
  • 副業兼用は事業使用割合で按分し、按分後の金額で段階を判定できる
  • モニタ・UPS等の周辺機器は別個の資産として処理できる

金額の境界を意識して構成を組めば、性能と税務の両面で得をします。具体的な適用可否と2026年分の上限・期限は、必ず税理士・国税庁の最新情報でご確認ください。

出典・参考情報